耐震化率とは?投資用の中古マンションにも耐震化工事が必要?
現在日本では、多くの地震が発生しています。不動産投資をするうえで、地震のリスクは考えるべき一つです。しかし、投資用不動産の購入を検討している人のなかには、不動産の耐震化について詳しくは、知らない方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、不動産投資を考えている方のために耐震化や耐震化率に関して詳しく解説していきます。
耐震化と耐震化率
不動産投資における地震のリスクを回避・軽減するために、耐震化工事を検討している方もいるでしょう。耐震化工事を実施する前に耐震化について、正しく理解しておきましょう。ここでは、耐震化と耐震化率という言葉の意味について説明していきます。
■耐震化
耐震化とは、建物が倒壊しないように耐震化工事を行い、建物を補強することです。すでに建てられた物件に対して、耐震診断を行い、その結果耐震基準よりも低いと診断された場合に耐震化工事が行われます。耐震化の技術は年々発達しており、建てられて数年が経過した建物でも現在の耐震基準と同等の耐震性を確保することが可能です。現在の耐震基準を満たす建物は、震度6から7の地震で倒壊しない・ほとんど損傷しない建物となっています。耐震基準に満たない建物は、震度6から7の大地震が来たときに損壊する可能性が高いので、まずは所有する建物の耐震性がどの程度なのかを把握することが重要です。
■耐震化率
耐震化率とは、すべての建物のうち耐震基準を満たしている建物がどれくらいあるか、という割合のことです。現在の日本では、約90%の建物が耐震基準を満たしています。国土交通省は2025年に耐震化率95%、2030年に耐震性を有しない住宅ストックをおおむね解消することを目標としており、大地震に備え、急ピッチで耐震化が進められています。しかし、昭和56年以前に建てられた建物に関しては、旧耐震基準をもとに建築されているため、耐震性が十分ではない建物もまだまだ多く存在するのが現状です。南海トラフ巨大地震や首都直下型地震など、日本では地震発生が多く予測されているため、できるだけ早めの耐震化が重要になっています。
耐震化の責任はオーナーにある
投資用マンションを賃貸として貸し出す場合、マンションのオーナーは安全な部屋を貸し出さなければいけません。もちろん賃貸契約は民間の契約なので、オーナーと借主が納得したうえで契約すれば、たとえ耐震性が低い建物でも貸すことは可能です。しかし、実際の契約では、オーナーは生活する人の安全を確保しなければならない、としていることがほとんどです。
さらに、耐震性が低い部屋を貸し出したことが原因で、損害賠償を支払わなければならなくなったケースも存在します。阪神・淡路大震災が起き、マンションの1階部分が押しつぶされて入居者が死亡したケースでは、損壊した建物に必要な量の鉄筋の量が不十分だったり、鉄骨部分にも設計施工上の欠陥があったため、マンションのオーナーに総額1億円を越える支払いが命じられています。この判例でわかることは、建築時に現在のオーナーが関与していない場合であっても、所有者として生活者の安全は確保する責任があるということです。
しかし、阪神・淡路大震災で同じようにマンションが損壊したとしても、耐震基準さえ守ることができていれば、1億円以上の支払い責任は発生していなかったでしょう。阪神・淡路大震災の影響で学校や病院、大型の老人ホームなどは、耐震化の計画書の作成が義務になりました。マンションやアパートなどの民間住宅にも、耐震診断や耐震化の工事が求められるようになっています。耐震化の責任は建物のオーナーにあります。多額の損害賠償を支払わない事態に陥る前に、耐震改修にしっかりと取り組むことを強くすすめます。
とくに、昭和56年より前に建てられた建物を所有するオーナーの方は、早急に耐震診断を受けるようにしましょう。現在の日本でも約10%の建物が耐震基準を満たしおらず、その多くが昭和56年より前に建築された建物です。マンションやアパートを所有するオーナーの方は、まずは自身の建物が昭和56年よりも後に建てられているかを確認してください。
耐震化工事・補強工事の内容
ここからは、具体的に耐震化・補強工事はどのような種類があるのか紹介していきます。マンションやアパートのオーナーは、いずれ補強工事が必要になることがあるかも知れないので、工事の種類は把握しておきましょう。
■家の内側から行う補強工事
家の内側から行う耐震補強工事は、内壁を撤去し、外側からは見ることのできない柱や断熱材の状態などを目で直接見ながら工事を行うので正確で確実な補強が可能です。「面している道路が狭い」「建物が密集していて重機を使えない」などの理由で、家の外側から工事ができない場合に適した工事方法です。家の内側から強くするために、筋交いと呼ばれる補強素材を入れたり、適切な箇所に耐震金物を使用したりしながら、耐震性を高めます。床や内壁をどの程度撤去するかは家の状態に左右されるので、工事業者による調査が必要です。家の構造上内壁の撤去が少ない場合などは、工事費用が安くなるケースもあります。
■家の外側から行う補強工事
家の外側から行う耐震補強工事には2種類あります。外壁を撤去して行う工事と外壁を撤去せずに行う工事です。
外壁を撤去して行う工事の場合、柱や土台部分、筋交いの状態などを目視することができるため、的確に耐震補強を行うことが可能です。確実に耐震性を高めることが可能ですが、外壁を撤去するので費用は高くなるケースが多いです。後述しますが、耐震診断や補強工事には助成金や補助金制度があるので、それらを活用するのもおすすめです。外壁を撤去して行う耐震工事は、内側から行う工事と同様に筋交いや耐震金物を使用し補強します。
一方、外壁を撤去しないで行う耐震工事は、他の耐震工事に比べ、短期間で工事を行うことが可能なのが特徴です。しかし、外壁を撤去しないので柱や土台を目視できないという点では、確実性は下がるでしょう。工事方法としては、耐震補強フレームを建物の外側に設置するという方法があります。耐震フレームを建物の外側に設置するだけなので、大規模な工事が不要で短期間で耐震性を高めることが可能です。また、外壁を撤去しない分、費用は安くなる傾向にあります。
耐震診断を実施しよう
所有する建物の耐震化が必要かどうかを知るためには、耐震診断を実施する必要があります。費用や時間のことを考えると、診断は後回しにする方もいるかも知れませんが、何かが起きて賠償金を支払う事態にもなりかねません。まだ耐震診断を実施していないのであれば、早めの診断をおすすめします。
また、耐震診断や耐震工事に関して自治体の補助金や助成金制度は充実しています。自治体によっては建物の改修費の1/3を国が、1/3を自治体が補助をしているところもあります。さらに耐震工事費だけでなく、耐震診断にかかる費用に関しても補助金が出るのです。これらの制度を利用すれば、耐震化に関する費用をかなり安く抑えることも可能なので、耐震化を検討している方は、一度調べてみてください。
ここまで、耐震化や耐震化に関する助成金について解説してきました。不動産のオーナーは、生活者の安全を確保する義務があります。所有する物件の耐震性に少しでも不安がある方は、すぐにでも耐震診断を実施しましょう。日本では国が耐震化を進めようとしています。そのため、耐震化に関しての補助金や助成金制度は充実しているので、活用しない手はありません。耐震診断は1日から2日で終わることがほとんどなので、まずは耐震化が必要な物件なのかどうか、耐震診断で調べてみてください。
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