家賃設定を適正に行うにはどんなポイントに注意すべき？

中古マンション投資で利益を得るためには、適正な家賃設定が必要不可欠です。家賃が高すぎれば入居者が集まらず、逆に低すぎれば収入が大きく減少してしまいます。本記事では、適正な家賃設定をするためにおさえるべきポイントや基準をまとめて紹介します。不動産の家賃設定で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

適正に家賃設定をするためのポイント

不動産投資において、適正な家賃設定は収益を最大化し、安定した運営を実現するための重要な要素です。適正な家賃を決めるには、以下の3つの情報を把握するのが大切です。

周辺の家賃相場とそのトレンドの理解

最初に注目すべき情報は、物件が所在するエリアの家賃相場と変動傾向です。物件が所在するエリアの家賃相場と変動傾向を知ると、地域の賃貸需要や市場の動きを把握できます。

家賃相場やトレンドは、人口動態や周辺施設、交通の利便性などの要素に影響を受けやすいです。とくに家賃相場が上昇しているエリアの特徴には「人口が増加傾向にある」「駅や主要道路へのアクセスがよく、交通の利便性が高い」「賃貸物件の空室率が低い」といったものがあります。

前述の要素を参考にすると、賃貸需要のあるエリアを特定して、適切な家賃設定に役立てられるでしょう。とくに、人口動態は重要な指標です。人口増加エリアでは賃貸需要が高まるため、人口動態を確認すると家賃相場をより正確に判断できます。

物件の成約実績とその推移の把握

次に確認すべきは、周辺物件の成約実績とその推移データです。成約実績とは、実際に契約された物件の家賃、敷金、契約期間などの条件を指します。成約実績を知ると、地域の家賃水準を具体的に把握できます。

また、複数年分のデータを参照すれば、家賃の上昇や下降といったトレンドを掴むのも可能です。複数年分のデータの情報は、不動産会社を通じて取得できる場合が多いです。

とくに「レントロール」と呼ばれる賃貸借条件の一覧表を活用すると、詳細な情報を得られます。レントロールには「家賃、敷金などの契約条件」「契約日や契約期間」「入居者の属性」といった情報が記載されます。

さらに、物件の賃貸管理会社やオーナーに直接問い合わせると、現地の詳細な状況を知るのも有効です。

競合物件とその成約実績の確認

最後に、競合物件の条件と成約実績を調査するのも大切です。自分の所有物件と条件が近い競合物件の情報を集めると、地域の家賃相場に基づいた適正な設定が可能となります。

競合物件を調査する際には「最寄り駅からの距離」「間取りや築年数」「建物の構造や設備の有無」といった条件を比較するのがポイントです。とくに、成約率の高い物件と低い物件の違いを分析すると、賃貸需要に合った条件を明確にできます。

前述のような情報も、不動産会社を通じて得るのが一般的です。

適正な家賃を決めるための4つの基準

中古マンション投資をはじめとした不動産投資で適切な家賃設定を行うには、以下の4つの基準項目を考慮する必要があります。

間取りと面積

間取りや延床面積は、家賃を決めるうえで基本的な基準となります。今までは「部屋数が多い」「面積が広い」物件ほど家賃が高くなる傾向がありました。しかし、現在では入居者のニーズに適した間取りや、部屋数のほうが重視されています。

たとえば、単身者向けでは1Kや1LDKが一般的ですが、リモートワークが浸透した現代では在宅での仕事がしやすい間取りが求められる場合があります。一方、子育て世帯の場合は、家族が快適に生活できる広めの間取りや収納スペースの充実が重要です。

家賃を設定する際には、ターゲット層のニーズに合った間取りと延床面積を検討し、最適なバランスを追求することが求められます。

立地や周辺環境

物件の立地と周辺環境も家賃を設定する際の重要な要素です。たとえば、最寄り駅まで徒歩10分圏内の距離に位置する物件や、生活利便施設（スーパーやコンビニ、ドラッグストア）が充実しているエリアにある物件は、比較的高めの家賃を設定しやすいです。

また、単身者とファミリー層では立地に求める条件が異なります。単身者向けの人気条件は「安全性の高いエリア」「都市圏へのアクセスが便利な場所」といったものです。一方、ファミリー層向けの人気条件は「子育て支援が充実している自治体」「学校や病院が近くにあるエリア」などです。

設備

物件の設備の充実度も、家賃設定の大きなポイントです。ほかの競合物件よりも魅力的な設備を備えている場合、周辺相場よりも高めの家賃を設定することが可能です。

賃貸物件でとくに人気の高い設備には「エアコン」「無料インターネット接続」「宅配ボックス」「浴室乾燥機」といったものがあります。前の設備は入居者の生活を快適にし、入居率を高める要因となります。

物件の築年数

築年数も家賃設定に影響を与える重要な要素です。築年数が浅い物件は、内外装が新しく、設備が最新である点から入居者にとって魅力的です。したがって、築浅物件は比較的高い家賃を設定しやすい傾向にあります。

ただし、築年数が浅いだけで高い家賃を設定するのはリスクがあります。立地や周辺環境、設備などのほかの要素も考慮した上で、総合的に判断するのが大切です。

家賃設定時に気をつけるべきこと

最後に、不動産の家賃を設定する際に気をつけるべきポイントをまとめて紹介します。

不動産会社や賃貸管理会社の意見を参考にする

家賃相場を調査する際には、不動産ポータルサイトなどのインターネット情報を利用すると便利です。しかし、インターネット情報だけでは地域の実情に合った正確な情報を把握するのは困難です。

したがって、物件のあるエリアに精通した不動産会社や賃貸管理会社に直接ヒアリングを行うのをおすすめします。相談すると、不動産会社や賃貸管理会社は「地域特有の賃貸動向や市場ニーズ」「商業施設の建設や新駅開発」「成約実績に基づく具体的な相場感」などの情報を提供してくれるかもしれません。

また、専門家は家賃設定に必要な判断基準や、比較すべき重要なポイントについてのノウハウをもっています。こうした意見を参考にすると、適正かつ競争力のある家賃設定ができます。

収支計算をすること

不動産投資の収益性を確保するには、長期的な収支計算を行うのが不可欠です。不動産投資は初期費用が高額で、金融機関からの借り入れを伴う場合が多いです。したがって、収益性を維持するためには、計画的な資金運用が求められます。

そして、家賃収入はローン返済や物件の維持費用をまかなう重要な収入源です。しかし、空室が続くリスクや家賃相場の下落リスクもあるため、リスクを考慮したシミュレーションが重要です。

とくに「毎月の家賃収入からローン返済額や運営費用を差し引いた後の純利益」「物件が一定期間空室になった場合の影響」「家賃が下落した場合の収益への影響」といったポイントに注目して収支計算を行いましょう。

ローンの返済比率を計算すること

ローン返済額と家賃収入のバランスも、不動産投資の成功に大きく影響します。返済額が家賃収入の大部分を占めると、キャッシュフローに余裕がなくなり、予期せぬ出費（修繕費用や税金の増加など）に対応できなくなるかもしれません。

一般的には、ローン返済比率を家賃収入の50％以下、可能であれば40％以下に抑えるのが目安とされています。結果的に、十分なキャッシュフローを確保し、収益性を高められます。

また、キャッシュフローに余裕があると、新たな物件への再投資やリスクヘッジに資金を活用可能です。さらに、不動産投資全体の安定性を向上させられます。

まとめ

中古マンション投資で成功するためには、適正な家賃設定が欠かせません。家賃設定を誤ると、収益が大きく減少したり、空室が続くリスクが高まります。適正な家賃を設定するには、地域の家賃相場やトレンドを把握し、周辺物件の成約実績や競合物件の条件を調査することが重要です。加えて、物件の立地、間取り、設備、築年数など、入居者ニーズに直結する要素を総合的に評価しましょう。さらに、不動産会社や賃貸管理会社の知見を活用して専門的な情報を参考にすると、地域市場に適した家賃設定が可能です。加えて、ローン返済比率を40〜50％以下に抑えると、キャッシュフローに余裕をもたせるのも大切です。適正な家賃設定は、長期的な不動産投資の成功の鍵となります。